「裏表先代萩」
実は先代萩、好きな作品ではありません。
嫌いというわけでもないのですが、
興味のある作品ではないというところでしょうか。
今回は無かったのですが「飯炊き」の場面が苦手。
茶筅でお米研ぐのがどうもね・・・
お芝居でそんなこと考えてはいけないんでしょうが。
蛇足ですが、今回、その「飯炊き」がなくて
どうなるのかと思っていたら、
子供たち、ご飯食べさせてもらえないまま。
一人は空腹のまま殺されちゃいました。
で、本題です。
とても見応えがあって充分に満足でした。
今月は一部も良かったのですが
あれは「若い人」の良さ。
三部は落着いた良さを感じた作品。
先代萩を裏表にしたことで
重苦しいばかりではなく気を休める時間もできて
かえって悲しみの場面が強調された気もしました。
観る事ができて良かった♪
続々と11月、12月の舞台の前売りが開始になっています。
早いものでは来年の公演まで。
なかなかと大変です>日程調整。
11月、12月は仕事がとても忙しい時期になる為、
平日の観劇は基本的に不可能。
その為、仕方なく土日&祝日に集中させることとなります。
ところが前売り予約を入れるにあたって
第3希望くらいまで出さなければならなかったりします。
さらにWキャストだと両方観たかったりします。
どの希望が取れたとしても重複することのないように
上手く組み合わせなくてはなりません。
幸い劇場は、東銀座、日比谷あたりと、まぁ近場です。
そこで昼の部は東銀座で夜は日比谷
なんて、一般の人からはビックリな掛け持ち日程を組むことに。
既にほとんどの週末は未定な予定で埋まってしまいました。
さて、その中で本当に予定が入るのは何日くらいで
どこが埋まる事やら。
久し振りの歌舞伎座です。
今月の演目はどれも知らない作品ばかりで
「いったい私は何を観るの?」
と思ったまま席に着きました。
「磯異人館」
どうしても幕末・明治維新を舞台とした作品は
歌舞伎らしくないと感じてしまいます。
固定観念に捕らわれすぎでしょうか?
政治を論する作品が多い印象もあります。
この「磯異人館」は
和風ロミオとジュリエットという感じでした。
勘太郎さんが役の心を迷わず舞台上で体感しているようで
まっすぐな思いの溢れる舞台になっているように思いました。
相手役が七之助さん、というのもバランス良いのでしょうね。
最後の場面、
俊寛を思い起こしたのは私だけかしら?
いつの日か、勘太郎さんの俊寛を観たいと思ったんですけど。
「越前一乗谷」
こういう舞踊劇もあるのですね。
悲惨な戦の話にも関わらず、
舞踊になると美しく、
その美しさが哀しさを見せてくれました。
舞踊なので、どうしても途中睡魔にも・・・・・
でも群舞はいいですね。
ここでも勘太郎さんに注目。
ファンなので許して。
秀吉として登場。
勘三郎さんの盲目物語が思い出され、
これまた、いつの日か勘太郎さんが盲目物語を・・・
と思ってしまいました。
かなり満足だった一部なのですが、二部は・・・・
正直言って期待はずれ。
「ゆうれい貸屋」
もっと楽しくも心に響く作品になるのではないかしら?
勿体無いと思うんですけど。
悪くはないと思いました。
でも、もっと工夫・・・というのかしら、
繁盛している場面に繁盛している感じがもっと欲しかったかも。
そうすると最後の場面が、ずっと生きると思うのに。
幽霊の人数不足・・・かな。
「舌切雀」
渡辺えり子さんの新作とのことで
ある程度、想像はついていたはずですが、
それでも苦手な作品でした。
もともとえり子さんの作品や訴え方が苦手でもありますが。
自分で歌舞伎に関し、許容範囲は狭くないと自負してきました。
今迄、スーパー歌舞伎を観ても、コクーン歌舞伎を観ても
野田版研辰を観ても蜷川十二夜を観ても、
全て、私にとって許容範囲でした。
野田版鼠小僧は良いとは思わなかったんですけど
それでも許容範囲内。
それは私の中に舞台の上に乗っているものが
歌舞伎であろうが新劇であろうがミュージカルであろうが
そんなジャンル分けをすることは意味がないという考えがある為。
舞台として良ければ構わない。
今回、その私の許容範囲を超えていました。
今書いたように、この作品が歌舞伎かどうかということではなく
作品として苦手です。
何をしたかった脚本なのか、全くわかりませんでした。
内容は面白くも楽しくも哀しくも腹立たしくもありませんでした。
そんな作品を観なければならないことに腹は立ちましたけど。
途中で帰りたくなったもの。
出演俳優さん達も演じていて楽しいのかしら?
楽しんでいるのだったらイヤだわ。
一般的に評判はどうなのかしら?
二部が一番の売れ行きだったようなんですけど。
評判良くて今後もこういう作品が上演されたら、
好きな役者さんが出ていても観に行かない・・・かも。
それとも、好きな役者さんが出ているからって
耐えて客席に座るかしら?
New Yorkといえば。
今、ブロードウエイで「コーラス・ライン」が再演とか。
「コーラス・ライン」は私がミュージカルを見始めた頃、
もっと言えば、観劇初心者の頃に出会った作品です。
劇団四季でした。
当時は浜畑賢吉さんが演出家。
飯野おさみさん、市村正親さん、久野綾希子さん、前田美波里さん・・・
その他大勢が、その他大勢でない作品。
まだ舞台というものを、演劇、芝居の世界を全く知らなかった私は
圧倒されただけでした。
もの凄くシビアな世界。
自分から喰らいついて命がけで掴み続けないと生きていけない世界。
「出来ない」「休みたい」と言った時点で脱落する世界。
容赦ない弱肉強食。
まだまだ純粋だった(?)私の仕事に対する姿勢の原点が
この時作られてしまった感があります。
就職試験の時、会場へ行く道すがら頭の中では
「この仕事がどうか、取れますように・・・」
「手に入れたい!この仕事!」
って歌ってました。
数年前、久し振りに劇団四季で「コーラス・ライン」を見た時、
若い頃見て感じたようなハングリーさを舞台から感じることはありませんでした。
俳優の世代が変ったからなのか、
はたまた私が年を経たからなのか・・・・。
何にしても、物足りなく感じてしまいました。
さてさて、今、ブロードウェイで上演している「コーラス・ライン」
どうなんでしょうね。
やはり違って見えるのでしょうか。
新たな作品として息づいているのでしょうか。
それとも変らずともパワーを秘めているのでしょうか。
観たい思い半分。
ガッカリしたくない思い半分。
前回は私も運良く観に行く事が出来ましたが、
今回は仕事も自分の舞台も忙しいので
日本でお留守番(?)です。
ワイドショーで初日の連獅子の様子、
2日目の法界坊の様子を見る事が出来ました。
連獅子の毛振り、軽やかに見えました。
三人きれいに揃っていました。
New York、機会があればまた行きたいわ。
1週間くらい。
中村座の公演とブロードウェイの舞台と
メトのオペラを観て過ごすの。
1週間滞在できれば最高8本いけるはず。
それだけできれば大満足。
え?「それだけ」ではなく「そんなに!?」ですって?
「それだけ」だと思うんですが。
他の事、何もできなくても構わないんだもの。
この重たい芝居をコクーン歌舞伎より回数多く観る私って・・・
単にこちらの方が切符取りやすかっただけですが。
それでも、こちらも千穐楽入手はできず。
コクーン歌舞伎の千穐楽の今日、氷屋を観たのと同様、
氷屋の千穐楽は別の舞台(ライブ)を観る予定になりましたが。
それはさておき。
氷屋・・・いちおう(?)市村さんが主役ですが
木場勝己さんの存在感のあること!
ただ黙って舞台の隅にいるだけでも気になってしまう。
ラリーという役柄のせいもあるでしょうが。
とても静かにとても丁寧に存在していると思いました。
大人の男。
どうすることもできない中途に位置することしかできない哀しい男でした。
前回はどうしても市村さんや目の前にいる役者さんに目が行き、
台詞・ストーリーを辿るばかりでしたが、
今回は一人一人の役に目が行き、
それぞれの人生もしっかり見えてきました。
でも、日本人には分かりにくい感じだわ。
実はさらにもう1度、観に行きます。
さすがにもう重いなぁ・・・とは思いますが、
観に行く日には少し元気も蓄えられているかも。
また、違ったものを発見できるといいんですけど。
コクーン歌舞伎の千穐楽公演、
6月28日昼の部の後に、夜の部の公演が追加され
昨日、発売がありました。
これって、興行主として観客に対する裏切りだと感じました。
念の為、断っておきますが、私が元々の千穐楽だった
6月28日昼を観る予定だから、というわけではありません。
その切符、取れなかったのだもの。
千穐楽の切符を取るお客様というのは
どうしてもその日しか観ることができないという方もいるでしょうが
それ以上に、千穐楽の公演を観たい方だと思います。
まして、今回は平日の昼間の公演。
仕事のお休みを取って、公演を楽しみにという方も少なくないでしょう。
切符を取ることができていたら、私もそうするつもりでしたから。
初日、千穐楽、何回記念公演・・・そういうものは特別です。
その作品を愛している観客にとっては、
誕生日とか何かの記念日とかと同等の価値を持つものだとおもいます。
それを変えてしまうなんて!
大楽を変えるなんて、ファン心理をお客様の思いを無にすることでは?
何故、その日、その時を追加したのでしょう?
某放送局の収録も入るとのことですが
実は初めから決まっていたのでしょうか?
それともその番組制作者に押し切られたのでしょうか?
そういえば、東宝の舞台だったかしら、
よく「○日限り、日延べはございません!」って
広告に書いてあったような。
今迄は、
「当たり前の事なのに書いてお客を煽ってる」
って思っていたけれど、
大楽の日延べを目にすると
日延べはございません
って当たり前ではなく、とても潔いことのように思えるわ。
アメリカ演劇、ユージン・オニールの作です。
市村正親さんが出演、ということで観に行ってきました。
こういう作品は出演者に興味がなかったら、
なかなか観に行く気になれなくて・・・・。
以前、ユージン・オニールを観たのは
「喪服の似合うエレクトラ」で大竹しのぶさんを観に行ったのだもの。
久し振りに演劇、芝居観た~!って感じでした。
長かったというのもありますが。
3時間半くらいかしら?幕間込みで4時間近く。
でも長さを感じたのは私のお尻だけで

ダレることのない3時間半でした。
それにしても、男くさい芝居だこと。
ニューヨークの場末(?)の宿


そこに集まる社会から、人生からはみ出してしまった男達。
出演者の多くはおそらく市村さんと同世代の
いわゆる「おじさん」達。
その"オジサン達"が市村さんが若手に感じてしまうほど
安定した芝居を魅せてくれました。
地に足の着いた感じの台詞の応酬。
力強くて、どっしりと観ることができました。
市村さんの役ヒッキーは、
最後、何故かエクウスのアランを思い浮かべてしまいました。
そんな少年の役ではないのに何故かしら?
ヒッキーの行為が、アランの行為に重なって見えました。
今回の作品、最後の方に市村さんの長台詞があります。
先程、帰宅してネット検索してみたら、
長台詞30分もあったんですって!

そのほど長いとは感じなかったわぁ。
この作品、また、観に行く予定です。
既にまとまっているようにすら感じましたが
舞台ですもん、変わるはず。
楽しみです。
時にはこういう重さも心地いいもんです。