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日本舞台初演というオペラ「ゲノフェーファ」を観ました。
プログラムの他に対訳本も売られていて、
他ではきっと売られていないから、と思って購入。
この対訳本購入して正解でした。

と、いうのも、今回の演出、
すっとした普通の解釈ではなく、少々深読み、裏読みしたもの。
本来のト書きを読むことができて
比較できたこと、わからなかったことを確認できました。

この作品、普通に上演したなら

"純粋無垢な乙女のような妻"が夫の留守中に
夫の部下から横恋慕されたが、それを拒否。
逆恨みをかって、不貞の濡れ衣を着せられる。
夫を恨んでいる魔女もそこに加担し
夫は妻が不貞を働いたと一時は信じてしまう。
しかし罪悪感にかられた魔女の告白により
夫は自らの誤りに気づき、
寸でのところで処刑されかけた妻を救い
めでたし、めでたし。

そんな話。

ところが、今回の演出では、
めでたしめでたし
とは、いかない。

夫は「ごめんごめん、俺が悪かった。」
「せっかく又、無事、再開できたんだから良かった。」
とハッピーですが、妻は
「無実な私を信じてくれなかったんでしょ。」
と、夫一筋だった愛を失っている。

きっとこのあと、この妻は信仰に走ったか
本当に不貞な妻になったか・・・・

この演出に不満を思った観客もいてブーイングも起きたようですが
(気づかなかったなぁ、ブーイングに。でも起きていたらしい)
「有り」だと思います、この演出、この解釈。

この演出、解釈で上演したにあたって問題があったとしたら、
出演者の心理描写、芝居の浅さ、ありきたりさ、単調さ。
舞台上で生きているエネルギーが乏しく感じました。

ゴーロは、もっと狂おしくゲノフェーファを求めて、
可愛さ余って憎さ百倍みたいな描写が欲しかったし

ジークフリートはもっと単純に目の前のことをすぐに信じる愚かしさが欲しいし

ゲノフェーファは最初はもっとあどけなく純真で子供っぽいほうが、
民衆に馬鹿にされ人望のない「領主の妻」になっただろうし
エンディングに向かって、一人で困難に立ち向かう自立した女性に成長するとか
頼る相手をジークフリートから神という保護者に変えるだけの自立できない女性とかに
なったでしょうに。

マルガレータは最初は、もっともっと黒い恨みを抱いた女性であった方が
3幕での「実ハ・・・」という歌舞伎の「戻り」の効果があっただろうし
(私が観た公演では最初から人の良さが見えてて魔女らしくなかった)
あと声が客席に届きにくかったのが残念。

もっともっと心の中のドロドロが見えたら今回の演出がもっと面白くなったでしょうに。
勿体無い。

もう1組の方はどんなかしらね。

オペラの人達も「芝居」の演出の人に依頼するなら、
従来のオペラ演出から離れて、もっと冒険した方がいい。
それができないなら、芝居の演出家には頼まないほうがいい。
演出家が気の毒だし、出演者も納得できず辛いでしょう。

そうそう、助演の方がいましたが、
客席から見ていて動きが異なるので、すぐわかります。
助演の方々は動きがきれいです。
合唱は静止している人が大勢いる中で動いている人がいたりして
静止の場面なのかそうでないのか、わからなかったり
その合唱の動きが気になってキャストに集中できなかったり。

キャストの中ではゴーロの動きが無駄なくてきれい。
日本人はどうも無駄な細かい動きが多すぎに感じました。

装置は色々、他の舞台を思い起こさせるものがありました。
どこかで観たな・・・的な。
出演者は大変だったことでしょう。
演劇では当たり前な装置、演出でも、オペラの人は慣れていないでしょうから。
特に傾斜舞台。
いくらなんでも急すぎじゃないですか?
あの傾斜でよく歌っていたと思います。
ゴーロなんて最後、姿を消す時、駆け上るのやっとに見えたし(^^;
美しかったですけどね。
もう少し傾斜を手加減してあげて欲しかった(^^)

個人的には劇団四季の「ジーザス・クライスト・スーパースター」の
エルサレム版を思い起こす傾斜で(笑)
その傾斜でゲノフェーファが「神の御手に任せます」みたいなことを歌うと
もう私の中では完全にジーザスな世界です。

あと宙から出入り魔女や、殺されたドラーゴなんかは
「あー歌舞伎のスッポンみたいね」
人間じゃない人達が出入りするところ!みたいな・・・。

普通のプレーンな騎士と魔女と神という演出も見たいですけど。
再演する機会があって、もっと芝居も深くなって
演出も再度練られていくなら、この作品も良いと思います。

久し振りに感想をたくさん書いてしまいました。
でも、それだけ色々と面白い時間だったということです。

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